備忘録・雑記 2026年09月08日

坂口安吾「火」

坂口安吾の作品を、刊行順に読む課題。遅々としたペースではあるが。

この「火」は、長編で、青空文庫にも無いので、ちくま文庫の全集にて。
もはや、ちくま文庫の全集も絶版なので、
学生時代に、無理して買っておいて良かったと、つくづく思う。

ドストエフスキーを意識してるのかな?と思いつつ、読み進め、
登場人物も魅力的で、もしやすると、主人公をもってキリストを描くような試みも、成功してるのでは…と思いきや、終盤で失速、終わり方も唐突で、
”最後まで書ききる”ことが出来たのも、ドストエフスキーの凄さに含まれるのかもなぁ…

なとど、一人合点していたものの、

巻末の”解題”に書かれている、著者の、執筆当時の状況を読むに
(ちなみに、”解説”のほうは読むに値しない。我田引水で自論を展開する輩を、解説に起用するべからず。)

坂口安吾が、まぎれもなく精神、体調ともに、最悪だったときの作品で、
その克服への反動が、むしろ、作品としての健全さをもたらした、と。

そのせいか、当時の著者自身も、当時の著者を説明するのにも、”ファルス”という言葉が使われることが多い。

坂口安吾のファルスとは?

AI による概要
坂口安吾の「ファルス」とは、乱痴気騒ぎやナンセンスな笑いを通じて、人間の存在そのものを一つ残らず全的に肯定しようとする文学の形式・ジャンルのことです。

“道化とは、合理精神の休息” という言葉が印象的。

第一章だけでも長編だが、本来は、第五章まで執筆するつもりだったようで、
無理だったろうとはいえ、続きが読みたかった。

“解題”からすると、「不連続殺人事件」なんかも、
作者自身の課題として、精神の克服があったようで、

やはり、そういう背景を知ることができる”解説”が付いてるのが、文庫や全集の良いところ。
ちなみに、青空文庫に「作者の言葉〔『火 第一部』〕」 があるが、
これは、著者による、短いあとがき。

講談社「坂口安吾選集」も絶版のようだし、
著名な作家でも、もはや読めない作品が、結構あるのかもしれない。

もはや、本は好事家だけのものに、なりつつあるのか。どうすんのかね。
(2026/09/08 (火) 01:03)

最近、キーボードの入力とはいえ、昔だったら考えられなかったような、
文字のミス(ひらがなの前後が入れ替わっていたり、必要な文字が抜けていたり)が、増えた。

老い、という気もするし、
細かいことは、もうどうでもいいや、と思ってきたせいのような気もする。 (2026/09/08 (火) 01:03)